辺野古埋立をめぐる国と沖縄県の対立
A:「沖縄に新たな基地はつくらせない」で始まった国と沖縄県との喧嘩だけど、変な方向に来てない?
B:変な方向って、政治闘争を法廷闘争に持ち込んだっていう意味?
A:そうそう、それそれ。政策論争を裁判所が解決できるはずもないのに、どうして無力な裁判所を巻き込むんだろう?
B:沖縄県が政治闘争を法廷闘争に持ち込んだ最大の目的は、辺野古基地の建設工事をストップさせることだから、予定してた方向だよ。前知事が出した埋立承認を現知事が取り消すことで工事はストップできるので、国が裁判闘争に持ち込んでくれれば基地建設を10年棚上げできると踏んだんだろうけど、それが唯一残された手段ゆえに国にもバレバレなのが痛かったね
A:なるほど、それで国もすぐには裁判沙汰にしなかったんだ。でも、バレバレにしては国の対応も変だよね。公権力に対する国民の対抗手段として活用される行政不服審査法を国が沖縄県に対抗する手段として使うなんてあり得ないでしょ?
B:国の最大の目的は辺野古基地の建設工事をストップさせないことだから、そこを確保してからでないと沖縄県の法廷闘争作戦に応戦するわけにはいかなかったんだよ。そして、行政不服審査法の利用が工事をストップさせない唯一の手段だっだので、無理筋だとの非難覚悟で利用したというわけさ
A:国に無理筋があるとなると、裁判沙汰になった今、沖縄県の承認取消処分を執行停止した国土交通相の処分が違法と判断されて工事ストップってこともあるんじゃないの?
B:沖縄県の承認取消処分を執行停止処分にした国土交通大臣を訴えることができるのは、異議申し立てができる防衛大臣だけで、行政不服審査法上沖縄県は法廷闘争の部外者。それならばと国地方係争処理委員会に訴えて法廷闘争を狙ったけどお門違いよと門前払い。最後の手段として登場したのが、沖縄県の承認取消処分を執行停止させた国の処分に対し、沖縄県には国の処分の取消しを求める法律上の利益(訴えの利益)があるんですというところから裁判沙汰にするというやり方だけど、工事は止まらない
A:基地建設工事は止められないまま法廷闘争に持ち込んで沖縄県にメリットがあるの?
B:ないかもね。訴える資格が認められても、県益と国益の優劣を裁判所は判断できないだろうし、違法性を判断してもせいぜい手続きの違法だけだから、門前払いを食わないとしても、手続きの違法性が認められたとしても、高度に政治的な問題であり裁判所では解決できないとの理由で棄却されるだろうね
A:それじゃあ今回の法廷闘争は誰にメリットがあるの?
B:過去の爆音訴訟を持ち出すまでもなく、裁判所が基地問題を解決できないのは明白だから、国も沖縄県も最終決着というメリットを司法に求めてはいないよ。誰にメリットがあるのかというと、皮肉なことに、国と沖縄県双方に共通のメリットがある。法廷闘争をマスコミが継続的にお茶の間に届けることで支持者を増やせることがそのメリット。安全保障に無関心な国民が多いから、沖縄県としても国民を味方につければ勝機はある。国際的に報道されるチャンスも増えるので、国際世論を味方にできるチャンスも拡大する。多くの自治体が沖縄県の愚行を苦々しく思ってるかもしれないけど、勝機の無い法廷闘争が「新たな基地をつくらせない」という悲願達成の起死回生策になるかもしれない。中国も琉球を熱い眼差しで見てるから、沖縄の未来は波乱万丈でとても興味深いね
A:恐ろしい未来が待ってるぞって聞こえるけど
B:台湾中国が沖縄経済最大のお得意様になれば、イヤでも未来は見えてくるよ。経済を制する国が世界を制すと中国は本気で考えているからね。歴史は繰り返すんだよね
A:ほんとに怖いんだけど
B:歴史を学び直して覚悟を決めることだね
A:今日はもう帰るわ