政治に対する国民の無関心の結果が、国民自身に不利益となって返ってくるよと教えてくれるのが事業仕分けです。「廃止」や「公務員の説明能力のなさ」が話題になりがちですが、木を見て森を見ずの議論です。「コンクリートから人へ」のスローガンは、政治家、天下り法人、民間企業のたかりを即刻廃止できるので抵抗勢力にとっては死活問題ですが、費用対効果の検証がなされてこなかったのが裏目に出ての結果ですから仕方がありません。ですから、公務員に説明能力がないのではなく、パワーゲームに利用された事業には費用対効果や優先順位の検証をすることが許されなかったというのが担当者側の現実なのです。そして、事業によってはたかりがあまりにも露骨なために廃止になるものがあるわけです。
政治に失望するのは勝手ですが、結果に対する責任(=800兆円を超える国と地方の借金払い)は、たかる側ではなく100%国民が負うことになるという認識が皆さんに芽生えれば、それだけで事業仕分けは大成功といえます。そうなれば、目的、必要性、緊急性、手段の優位性、結果と事前見込みとの開き、結果の理由と責任の所在、課題の洗い出し、課題解消策の決定、の各過程を国民に公開させ、世論を味方につける説得力のある議論を国に義務づけることができるからです。
借金大国になった最大の原因は、あなたがたかりを許してきたからです。
「知らなかった」というあなたの言い訳を子や孫は許してくれるでしょうか?「なぜ、正さなかったのか?」、「なぜ放置したのか?」、「なぜお任せの政治を許したのか?」糾弾の言葉が容赦なくあなたに飛んでくるでしょう。事業仕分けは、あなたが主権者としての義務(=監視と世論の形成と投票の義務)を果たさなければ、この国が今より良くなることは無いと警告しているのです。
税金を食い物にするたかりの防止は今のところは簡単です。手段の優位性だけを監視できればいいからです。たとえば、天下り法人を経由して事業をする方法がベターなのか、なぜ特定の者と随意契約をして競争原理を働かせないのかなどが問題になる場合には、その手段以上のものがないという確認ができればいいのです。しかし、これはいたちごっこです。たかりの手法は巧妙化するでしょうから、主権者であるあなたも今以上の眼力を身につけなければならないでしょう。
この国の未来は、誰でもないあなたが決めているのですから。
以下、関係図書の紹介です。
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