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お題の「震災がれきの広域処理は違法か?」に必要な判断は、法的判断だけではなく震災がれき問題をどう解決するのかという判断も合わせて必要になります。

放射性物質に関する全国民共通の問題は、低放射線被曝(ひばく)が続く場合の人体への影響

です。しかし、その深刻さについてはよくわかっていないのが現状です。だからこそ誰もが不安なのですが、不安と不安が現実になっている現状の把握は冷静に行うようお願いします。

リスクの判断だけではなく、どう解決すべきかの判断が求められていることをお忘れなく。

さて、震災がれきの広域処理問題を判断する手順として、まず放射性物質の人的被害を現在と未来に分けてお考えください。それから震災三県の人的健康被害を現在と未来に分けて考えてください。判断内容は、

先に何を解決するのかという優先順位の決定

になります。判断材料はご自分で選択しそれを根拠に判断してください。判断の是非は未来にならないとわかりませんので、判断後は推移を注視していてください。判断はいつ変更しても構いません。

自分なりの根拠を持って判断することが主権者としての義務

だからです。

以下の記述は、お題に対する私見です。気をつけていただきたいのは、ほとんど根拠データを示していません。このような議論が氾濫しています。もっとも重要なことは、何を信じて判断するかです。多くの公的機関の報告書やデータを確認することが判断を誤らない秘訣です。百聞は一件に如かずでもあります。是非ご自分で根拠を確認をしてから判断してください。それでは、続けます。(嘘を書いているつもりはありません)

震災三県の健康被害には緊急の対応が必要です。

これにご同意いただけるなら、粉塵被害、悪臭被害、火災被害をもたらしている

震災がれきの人への影響が、放射性物質の人への影響より甚大

であるという事実も是非確認してください。未来の結果を待つまでもなく、

放射能が原因で死ぬ国民の数よりも震災がれきが原因で死ぬ震災三県民の数が多い

のは明かです。前者による疾病はガンが主ですが因果関係の証明は困難、これに対し後者は呼吸器やストレスの悪化が様々な疾病を引き起こすだけでなく、発病リスクの高さも因果証明の容易さも放射性物質の比ではないからです。放射能汚染の拡大を防止する議論は大いに結構ですが、岩手県や宮城県からお願いされている震災がれきの広域処理がこの議論の結果待ちというのは愚かなことです。震災がれきの広域処理に反対する側の主張を実現させていくと

震災がれきの処理が完了するまで被災三県の人々は県外へ避難

という結論しか得られませんが、この結論で被災三県に住み続けている方々を説得できるのでしょうか?

別の課題を先に出したので混乱されたかもしれませんが、判断は次々と求められるので大局的な判断が必要だと申し上げたかったのです。

震災がれきの広域処理の議論では、解決に寄与しない論点ばかりが目立ちます。例えば、放射能に汚染されたものはごみとして処理してはいけないという主張はもっともですが、放射線量がゼロであれば、震災がれきは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第2条第1項に規定する「放射性物質及びこれによつて汚染された物」に該当しないので「廃棄物」と解釈でき、広域処理に回しても違法ではありません。汚染されていても、除染後にゼロにできれば広域処理しても構わないと思いますが、何を優先的に守ろうとするかの判断で結論が分かれるところです。

広域処理には法的根拠がないという主張もありますが、放射線ゼロがれきの広域処理の法的根拠は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第9条の9の「環境省令で定める一般廃棄物の広域的な処理を行い、又は行おうとする者(当該処理を他人に委託して行い、又は行おうとする者を含む。)は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。」に求めることができます。

放射能に汚染されたがれきを広域処理で行うことも違法ではなく、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」第4条の「地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国の施策への協力を通じて、当該地域の自然的社会的条件に応じ、適切な役割を果たすものとする。」に根拠を求めることができます。同法が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の特別法であることは明らかなので、同法の適用が優先されるからです。

震災がれきで様々な議論をやるのは結構なことですが、

議論している論点が議論の何を解決できるのかを先に理解

しておいてください。そうでないと、議論は咬み合わず、脱線していくばかりです。何よりも事態は急を要するのですから。

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