「賢者のおくりもの」というタイトルの童話がある。
貧しい夫婦がいた。妻は自分の髪を売って夫が代々受け継いで大切にしている懐中時計の鎖を買い、夫は妻が欲しがっていた櫛(くし)を買うために、大切な懐中時計を質に入れた。その結果、互いのプレゼントは無駄になったが、測りしれない深い愛情をもらえた記念すべき日となった。
大雑把にはそんな内容だった。
この童話が示唆しているのは、愛情の意味と測り方の重要性である。
愛情とは自分より相手が大事という感情
であり、愛情の深さは
自己犠牲の程度を測ればわかるもの
である。童話の作者は愛情の測り方を示唆したつもりは無いかもしれないが、
愛情の測り方をマスターしておくことは多くの人に有益
なことだ。こう書くと、即座に「愛情は打算ではない!」、「愛情は測るものではなく信じるものだ!」と反論されるだろう。それらに対する私の再反論は・・・無い。「まったくもってそのとおり!」だからである。
しかし、
愛されている実感を相手の言動から得ている人がほとんど
だ。あなたが相手の言動に一喜一憂している毎日をお過ごしなら、すでに相手の愛情を測っていることになる。問題は、多くの人が正確な測り方を知らないということだ。したがって、愛情を測る方法はマスターすべきものということになる。
それでは、愛情を測る方法を説明しよう。まず、使用上の注意を。「愛しています」とか「あなた無しでは生きていけない」などの
相手の言葉を測ってはいけない。口先だけの愛情は測れないからだ。
測るのは相手の行動だ。しかもあなたのために行った行動だけ
だ。相手が、逆にあなたへおねだり、お願い、要求、命令をするようなら、あなたが「さよなら」を言われるのは時間の問題だ。あなたより自分が大事だと態度で示しているわけだから。
次に、
自己犠牲か否かの見分け方だが、自分が相手のために同じ行動をする場合に自己犠牲を伴うかどうかで判断
すればいい。そして、
自己犠牲が大きいのか小さいのかもあなたが自由に判断
していい。なぜなら、
自己犠牲の有無も大きさの判断も人によってバラバラ
だからだ。「電話をしたら出てくれた」、「デートしてくれた」、「プレゼントをくれた」は、時間やお金をあなたのために使うという自己犠牲を伴うが、「そうかな?」と疑問に思う方が少なくない。ましてや「大きな自己犠牲だ」などと言おうものなら異論続出は必至だ。でも、不安になる必要はない。こんなテキトーなやり方でも
相手の愛情の枯れ具合を正確に知ることはできる。
誤解している方もいらっしゃるだろうから念押しをすると、
失うことを恐れている愛情は長続きしない
のが自然だ。恐れている人ほど愛情を確かめたがる。愛情を測っている。だから、
測り方をマスターするメリットは愛の終わりがいつ頃かわかる
という点だけになる。「えっ?測り方をマスターすれば愛情を失わずにすむと思った・・・。」と思われた方には、以下の方法が有効だ。
不滅の愛情を得たいのなら、
相手が側にいてくれるだけで、自分のことより私を大事にしてくれていると信じる
ことだ。そして、
相手に愛情以外は何も求めない
ことだ。それができる間は、あなたの愛情が枯れることは無い。ただし、
相手もあなたと同じ測り方をする人間
でないと、相手の愛情が枯れた時点で今の愛を失うことになるので、愛情の測り方は、相手を選ぶ手段として活用するのが正しい使用法というわけだ。
回りくどくなったが、実は簡単なことだ。
愛情の継続は相手の存在に対する感謝に尽きる。お互いが感謝の気持ちを持ち続けられるなら、愛は不滅だ。
私は40年近く実践できているので自信を持ってオススメする。ただ、相手が今も感謝してくれているかどうかは定かではない。
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