「『神との対話』の神様って、かなり突っ込んだ自己紹介をしてるけど、この本が著者の作文だとするとやばくね?」
「神様が偽者だってすぐバレるからってこと?」
「そうそう」
「なら、やばくねえ。この本が著者の思考の産物なら、おそらく二人と出ない大天才だよ。誰もこの神様が偽者だと証明できないからね」
「そこんとこがどうしても理解できないんだけど」
「著者は神を『すべて』と定義してるから、人は反証を出す術が無い。悪魔だ低級霊だと主張する人がいても反証にならない。悪魔も低級霊も神だから。悪意や悪行すら神だからね。簡単に化けの皮を剥がせそうでできないという意味でこの著者は天才だよ」
「そこは聖書を引用してると簡単にわかるから、むしろツッコミどころ満載ですぐ化けの皮が剥がされるぞと誰もが思うとこじゃない?」
「そのツッコミどころにすべて答えを準備しているところが、この著者が大天才じゃないかと思われる証拠になるのさ。通常なら自殺行為だけど、それで死なないとこが見事だね」
「表現の曖昧さでごまかしてるだけじゃないの?」
「最新科学を用いて、法則を説明するようにこの世の仕組みと神の関係を説明しているくだりは僕も脱帽だよ。目から鱗(うろこ)が落ちっぱなしの本だけど、この本が声を大にして訴えているのは単純明快」
「この本の主旨が単純明快ってこと?」
「神は愛である。愛がすべてで愛以外に何もない。だが、愛する愛される体験をしたい。愛さない愛されない経験をしたい。それを様々な方法で体験したい。そこで、体験するための舞台を用意し、道具を用意し、役者を用意し、役者に自由に愛を表現させることにした。だから諸君、思い思いに愛を表現してくれ」
「愛の例えはわかりやすいけど、神様の言葉にしては浅はかすぎない?」
「神は愛だから、人生全体が愛し愛されるためにあると言っても過言ではないよ」
「愛以外の目的で生きてる人が断然多いと思うけど」
「愛を人生の基本に据えていない人の人生って、役者が大道具や小道具の分捕り合戦をしている舞台を見ているようなもの。愛さない愛されないを演じていながら不安を恐れ神経衰弱に耐えられない。満足するために不満が必要なのに、不満を嫌って他人の満足を奪い取る。満足は自分の内にしかないから、外に求めている間は満足することができない。愛さない愛されない人生を満喫したいのなら理解もできるけど、誰もが愛されたいと思うから人生はうまくいかない。それならば愛することから始めないとね。なぜ愛されないのかと悩むのは自己矛盾だとわかるでしょ」
「愛することだけが人生の目的じゃ寂しすぎない?」
「愛することは誰にでもできるから、愛を知ることが愛である神を知る近道であり王道。愛さない人生も選べるわけだから、神に興味がなければ愛する人生を選ぶ必要もないと思うよ」
「でましたね、冷たいお言葉」
「親友には、たとえ七難八苦の人生であっても謳歌してもらいたいからね。そこ七難八苦の道だからやめときななんて言わないよ」
「そこは教えろよ」
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